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農業未経験から1年半でトマト農家として独立!とことん極めて自信をもって届けられるものを作りたい。

2023.07.11


「生き方、暮らし方、理想としてた家族の形になってる?」
と妻と話し合い、田舎移住を考え始めた。

國森友基さん
高知県日高村地域おこし協力隊2年目(2023年6月現在)。鳥取県生まれ。関西で15年ほど暮らしていたが、離職し2022年3月に協力隊に着任。1年間農業とシュガートマトの栽培を学び、2023年11月に新規就農することが決定したため、独立準備を進めている。

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Q:地域おこし協力隊になる前はどんな仕事をされていましたか?
A:ずっと営業をしていました。

もともと靴が好きだったので靴の作り手になりたくて専門学校へ行き、卒業後は婦人靴の会社に入社しました。入社当初は、百貨店の婦人靴売り場で接客を担当していました。

でも年数を重ねていくと、店舗の売上管理をするなど徐々に他の仕事が増えていき、お客様との距離がどんどん遠くなっていったんです。もっと直接届ける人との距離が近い仕事をしたい!という思いが芽生え、転職し住宅の設計事務所で2年間、オーダーメイド住宅の営業をしていました。

20歳から11年間靴のことしか知らなかった自分が、全く知識もない建築の世界に入ったので、覚えることも多くかなりハードでしたね。でもお客さんにとって人生の中でとても大事な買い物のサポートをすることは、靴とはまた違った新鮮な感覚でした。周りのスタッフも仕事にやりがいを持っていて、ギラギラしていて刺激的で楽しかったです。

Q:充実した生活を送っていた中で、田舎移住を考え始めたきっかけはありましたか?
A:家族と生き方を見直した結果、地方に移住したいと思いました。

当時は確かに充実した生活ではあったのですが…朝の7時から日付が変わるまで働いて、家に帰って寝て、また次の日朝の7時から働く。そんな生活をしていました。ずっとその環境に身を置いているとだんだん感覚が麻痺してきて、それが当たり前になっていたんですよね。

しかも、結婚して1年目と2年目のことで。妻と2人で生活を始めたはずなのに2人の時間が全然なかったんです。さすがに妻に心配されて「生き方、暮らし方、理想としてた家族の形になってる?」と話し合いました。そこでやっと「仕事よりも、生き方、暮らし方を1番に考えよう」と思ったんです。

どんな暮らし方をしたいか考えた時に、1番に浮かんだのが“高知”でした。妻が四万十の出身なのでよく遊びに来ていたんです。その度に自然に癒されて「いつかは高知に住みたいな」と思っていたので、このタイミングで高知に移住しようと決めました。

Q:日高村の地域おこし協力隊を知ったきっかけを教えてください。
A:妻が日高村の協力隊募集を見つけてくれたのがきっかけでした。

最初は高知県内の一般企業へ就職する方向で探していたんです。でも、住宅メーカーだとまた同じような状況になるかもしれない、だからと言って違う業種にしても2人の時間が確保できるかも分からない。いろいろ考え始めると、なかなか決められずにいました。

そんな時に、妻が「高知市内からも近くて、生活しやすそうな日高村で地域おこし協力隊でトマト農家の募集をしているみたいだよ。こういう選択肢もあるんじゃない?」って募集要項を見せてくれたのがきっかけで、日高村のことを知りました。

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Q:数ある協力隊ミッションの中から、トマト農家の就農を選んだ理由を教えてください。
A:「とことん極めて、自信を持ってお客様に届けられるものを作る仕事」だったから。

自分の中で仕事を選ぶ時の譲れないポイントがあるんです。それが“とことん極めて、自信を持ってお客様に届けられるものを作る仕事であること”。

日高村が作っている「シュガートマト」は調べていく中で、味や酸味や糖度にこだわって徹底的に品質管理をしているブランドトマトであることを知って、私の“譲れないポイント”をしっかり押さえられていると思いました。

さらに地域おこし協力隊は3年間の活動期間で、給料を頂きながら勉強したり、研修を受けたりしながら、就農のための準備ができる。農業未経験の私がいきなり田舎に移住をして、0から自分だけで就農するよりも、生活の基盤を作れてリスクも少ないと思いました。

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あと、地域おこし協力隊からシュガートマト農家として就農した三好さんのインタビュー記事も読んだんです。三好さんも農業未経験で、自分と重なる部分も多く、実際にシュガートマト農家になる道のりをイメージできました。

着任する前に日高村を訪れ三好さんに直接会ってお話した際にも、三好さんが日高村に来た経緯、なぜシュガートマトを作っているのか、栽培以外にも経営者としてのリアルな収入や経費についても、包み隠さず教えていただいたんです。

お話しを聞いた上で家族の生活を支えるだけの収入は得られそう、かつ自分も頑張ったら自分が目指すような暮らし方ができると思ったら、ドキドキワクワクで「やるしかない!」と、シュガートマト農家に決めました。

親戚が農業をしていたものの、土にさわったこともなかった自分が、まさか農業をやるとはと驚いています(笑)

Q:実際に日高村ではどのような活動を行っていますか?
A:農業の基礎の勉強をし、2023年に新規就農することが決まりました!

農業に関しては全くの素人なので、まずは四万十町にある農業担い手育成センターに通い、農業の基礎を勉強しました。トマトに限らず茄子・きゅうり・ししとう・ピーマンなどいろいろな作物に触れて、ハウス園芸の管理方法から病害のことまで学び、とても濃い3か月でした。

その後、私は日高村のトマト農家さんのところでシュガートマトの栽培を教えていただき、妻は先輩移住者の三好さんのハウスでパートとして働き、お互いに独立するための準備を進めてきました。

そして2023年に、私が使わせていただけるトマトハウスが見つかったので、1年半で協力隊を卒業し、トマト農家として新規就農することが決定しました。日高村に来て1年とは思えないほど、すごいスピードで進んでおり戸惑いもありますが、ついにトマト農家としてやっていくんだということを実感し、わくわくしています。

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Q:実際にトマトを作ってみて、驚いたことはありますか?
A:トマトの美味しさと、栽培技術に驚きました。

実はトマトの舌触りが苦手で、日高村に来るまではそんなに好きじゃなかったんです…でも、シュガートマトは皮がパリッとしていて濃厚、今まで私が知っていたトマトとは違い驚きました。

また、栽培の技術や管理方法に驚きました。研修先のハウスでは、環境制御装置が導入されていて、ハウス内の状況を確認できたり、ハウス内の状況をコントロールすることで安定した栽培管理を行うことができる。自分が想像していた栽培管理より機械的で緻密な管理が必要なんだなと思いました。

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一方で作業的には、細やかな作業が多く、スピードと繊細さの両方が求められます。農家の皆さんは、土の中の湿度、水分のあり方、栄養が足りているのかどうかを苗を見ただけで分かるんです。機械の数値だけに頼るのではなく経験則で、いろいろなことを感じ取り繊細な管理していて感動しました。

今行っているひとつひとつの作業や管理、全てがその先の生育に繋がる。常にそれを意識しておくことが大切だと、実際にトマトを作ることで学びました。これは変態くらいこだわらないといいトマトは作れないな、と思いましたね(笑)

その分トマトひとつひとつに愛着が湧き、大切に食べようという気持ちになりました!

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Q:日高村で実際に暮らし始めていかがですか?
A:友達が「表情が柔らかくなったね」と喜んでくれました。

最初は地方移住し、農業をやっていく事に対して心配される事も少なくありませんでした。
でも、田舎に移住した私のことを心配してくれた友達も、実際に日高村に遊びに来て「表情が柔らかくなったね」と喜んでくれたのは、とても嬉しかったです。

振り返ってみると移住する前は、朝から晩まで仕事のことばかり考えていましたが、今は仕事とプライベートどちらも大切にしながら生活ができています。

日の出とともに起きて、朝ごはんを食べて、トマトハウスに行って作業を行って、明るい時間に家に帰って、夕方6時には妻と一緒にご飯を食べて、犬の散歩をする。

すごく規則正しく、人間らしい生活ができることが、とても幸せだなと思います。

Q:地域おこし協力隊の活動の中で意識していることはありますか?
A:出会った人と真っ直ぐ向き合うこと。

人との出会いと繋がりを大切にすることは常に意識しています。と言いながら、20代半ば頃までの私は「飲み会は面倒だから誘われても断ろう」というタイプでした…(笑)

でも、前職の社長は人との繋がりをとても大切にされる方だったんです。そんな社長から言われた「人におろそかな対応をしていたら、自分に返って来る」という言葉が忘れられなくて、今でも肝に銘じています。

ここに来てまだ1年ですが、一人ひとりとの出会いを大切にし、真っ直ぐ向き合っていると、村民の皆さんも真っ直ぐ向き合ってくれることを、当に感じているところです。村の方がとにかく優しくて先輩農家さんは「困ったらうちのハウス見に来い」と気にかけてくださったり、お隣さんが草刈り機を貸してくれたりと、本当に助かっています。

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Q:最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
A:人、縁、タイミングを大切にしてください。

「自分の感じるがまま、迷った時は進む」というのが良いと思います。

私は移住をしたいと思ったタイミングで、たくさん調べて、日高村を見つけて実際に来村し、三好さんにも出会い移住し、今幸せに暮らしています。

動くと答えが見えてきて、次のステップに進むことができることを実感しました。人、縁、タイミングを大切にしながら、自分の感じるがまま行動に移してみてください。

写真:日高村地域おこし協力隊 加藤愛子

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