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農業初心者からのオリーブ栽培。複業できるビジネスモデルを作りたい!

2024.07.10

地域おこし協力隊(※以下、協力隊と記載します)の活動を綴る、「こつこつ活動日誌」の移住した人シリーズ。

移住した人ってどんな生活をしているの?
協力隊ってどんな想いを持って活動をしているの?

そんなことに興味があるあなたに、移住者のビフォーアフターをご紹介する記事です。
今回は、自動車屋の社長である竹田さんが農業にチャレンジするまでをお聞きしました。

(※)地域おこし協力隊とは、都会から地方に住民票を移し、地場産品の開発や地域活動への協力を行いながら、地域への定住を図る取組です。任期はおおむね1年から3年です。詳しくはコチラ

1.プロフィール.jpg

竹田 好宏(たけだ よしひろ)

いの町地域おこし協力隊1年目(2024年7月現在)。大阪府出身。
28歳で独立し、車の整備・修理を行う竹田オート(株)を立ち上げる。
その後、新たなビジネスとして農業部門を立ち上げ、2020年より大阪でオリーブ栽培をスタート。
生産拠点を増やすべく高知へ移住。2024年3月より、いの町でもオリーブ栽培にチャレンジしている。

2.話す竹田さん.jpg

農業初心者からのチャレンジ
自動車屋の新たなビジネスとしての農業

———移住前から、大阪で自動車屋の社長をしていますよね。なぜ農業に興味をもったんでしょうか?

竹田さん:社長として会社を存続させるために、新たなビジネスを始めようと思ったからです。

28歳で竹田オート(株)を創業した時は、もちろん車の業界のみでずっとやっていこうと思っていました。

でも、不景気で車は売れないし、今は人口減少の時代。今まで通りにやっていては、会社の体力が落ちて行くだけだと思うようになりました。

———車と農業は全く別の分野だと思いますが、農業を始めたきっかけは何ですか?

竹田さん:きっかけは偶然だったんです。

社員のみんなと一緒に新規ビジネスを考えていた時、はじめは「配送業はどうだろう」とか「二輪の整備もやってみないか」という話が上がりました。

出来ることから始めようと、色んなことに積極的に取り組んでいた時、よく車の修理に来てくれるお客さんから「もう使わなくなった畑があるから、畑をやってみないか?」と言われたんですよね。

3.畑全体 (2).jpg

———それで、思い切って畑を始めたんですか?

竹田さん:そうですね。(笑)

今の時代、世界情勢が不安定なので、食料自給率を上げていくべきことは周知の事実です。

だから、これからは日本国内の農業がもっと重要視されていくと思いました。

社会課題の解決につながるので、新規事業として始めるには良いかなと思いましたね。

———でも、全く経験が無い農業を始めることは大変じゃなかったですか?

竹田さん:僕の場合は、平日に農業学校へ通いながら、借りた畑を耕していました。

新規事業をやる上では、ちゃんとした知識を持って、出来るだけ失敗しないようにしたかったですからね。

———社員さんが担当するわけではなく、社長自ら学校へ行ったのはなぜですか?

竹田さん:僕は上から「やれ」といわれた仕事は本気で取り組めないと思っています。だから、社員に任せず、まずはやりたいと思っている自分が行いました。

社員に対しても、言われたことをやるだけでなく、「あなたにしかできない仕事をしなさい」と常に言っていました。社員とのコミュニケーションは特に大事にしていましたね。

———どんなコミュニケーションを心掛けていました?

竹田さん:ひとりひとりの人生観を理解するように努めましたね。

どう働きたいと思っているのか、家族との時間はどれくらい取りたいのか、人生で何を成し遂げたいのか……。つまり、「どう生きたいか」ということです。

これからの時代は、思うように給料が増えないこともあると思います。そんな世の中だからこそ、「どう生きたいか」を明確にし、その人の自己実現に向けて、働きやすい、やりがいを感じられる職場を整えることが僕の仕事だと思っています。

4.オリーブを触る竹田さん.jpg

手間がかかりにくいオリーブ栽培は複業向き!?
農業初心者でも栽培しやすく、伸びしろがある業界

———農業の中でもオリーブを選んだのはなぜですか?

竹田さん:前提として、車屋を続けながらできる農作物で絞って探していました。

農業学校で調べてみると、果樹とかオリーブはあまり手間がかからないということが分かったんです。

———どんな作業があるんですか?

竹田さん:オリーブに関して言うと、春に植え付けをしてしまえば、後は3年後の秋の収穫を待つだけ。

1回植えると基本的にはずっと育つので、他の農作物に比べたら作業量は少ないと思います。

もちろん、夏場の草刈りはありますよ!

———実際に大阪でのオリーブ栽培はうまくいきましたか?

竹田さん:2020年から栽培開始して、もう実がしっかりついてますね。

今年中にはオリーブオイルが採れると思います!

5.オリーブアップ.jpg

———大阪でもオリーブを栽培できるなんて、正直意外でした!

竹田さん:たしかに、オリーブは瀬戸内のカラッとした場所で育つイメージですよね。

学校で勉強してわかったことなんですが、実は、オリーブは果樹が育つ日当たりの良い土地ならどこでも育つんですよ。

僕がオリーブを始めようと思ったときにも、すでに日本海側でも太平洋側でも育てている人がいた。だから大阪でも育つだろうと。


———出来上がったオリーブは全部オイルにするんですか?

竹田さん:オイルにするものもありますが、他にも用途がたくさんあるんですよ。

オリーブは、枝も葉っぱも需要があります。大きくなれば、挿し木用の枝としても販売できますね。

余すことなく使えるので、非常に収益性が高い農作物です。

さらに、2016年当時で、国産オリーブの消費量は全体の0.3%程度しかありません。希少価値が高く、伸びしろがある業界ですね。

6.畑を見る竹田さん.jpg

事業を拡大するために高知へ移住
複業ができるオリーブ栽培を手伝ってくれる人を募集中!

———会社を経営しながら移住するのはハードルもあると思います。なぜ移住という選択を取ったんですか?

竹田さん:大阪ではオリーブがまずまず成長してきていましたし、この事業は伸ばせると思ったんです。

ただ、農業は天候の影響を受けてしまうので、収穫量が不安定です。そのため、生産拠点がひとつだけだと売上も不安定になることがリスクでした。

そこで、和歌山や兵庫など、大阪から車で約3時間圏内の場所にいくつか拠点を構えて、リスクを分散したいと考えるようになりました。

拠点を探す時に、大阪の知らない人がいきなり「畑を貸してほしい」と言っても、地域の人に本気度が伝わらないと思っていたので、まずは移住をしようと思いましたね。

———拠点先の1つに高知を選んだ理由は何ですか?

竹田さん:高知の場合は、大阪から4時間くらいかかるのですが、おばあちゃんの家があって思い入れがあるし、水質ランキング日本一の仁淀川もあって自然が豊かなので農業する場所としては最適だったんです。

移住フェアなどにも参加して、高速があって交通の便が良い「いの町」で拠点を探すことに決めました。

7.畑全体.jpg


———社員の皆さんに「高知へ移住する」と言ったときは、驚かれたんじゃないですか?

竹田さん:もちろんとても驚かれましたね。

でも、会社のメンバーは、面白そうと初めから共感してくれていたので、快く送り出してくれました。主体的に行動できる人がたくさんいるので、自動車屋の業務はある程度任せられていますね。

その代わり、社員を大阪に残してきた手前、僕は高知で絶対にオリーブ栽培を成功させる意気込みで移住してきました。

成功するまでチャレンジするので、失敗はありません。

8.オリーブアップ(2).jpg

———最後に、オリーブ栽培の今後のビジョンを教えてください!

竹田さん:僕は農業初心者でしたが、オリーブを着実に育てることができています。しかも、初めは畑での作業は、自動車の業務と平行しながらでした。

なので、オリーブ栽培は初心者でも複業しながら関わることのできるビジネスになると思っています。

具体的には、「農業一本で儲ける事業にする」というより、「1日5時間勤務、週休3日で生活できるレベルの収入を得られる」ビジネスモデルを作りたいです。

畑をしながら家族との時間も取れるし、趣味の副業をやってもいい。ワークライフバランスを重視する人にはぴったりの労働環境だと思います。

将来的には、オリーブを栽培してみたい人に、畑の管理を任せて、商品も自由に開発し、販売してもらうことも考えています。

高知県いの町をオリーブの産地にするため、一緒に事業を手伝ってくれる人がいれば、ぜひお問い合わせください!

竹田さんのインスタグラム
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~編集後記~

取材の中では、竹田さんの熱い想いをひしひしと感じることができました。
特に、社員さんと良く対話をして、その人が「どう生きたいか」を理解し、ワークライフバランスを整え、働きやすい環境づくりをされていることが印象的でした。
複業としての農業、初心者でもできる農業という新たなビジネスモデルにチャレンジしている竹田さんの活躍にこうご期待です!

ライター/いの町地域おこし協力隊 浮木大智

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