






戦国時代の土佐国にできた、農民をしながら兵士としても働く“一領具足”という制度を現代版に。日高村で働きながら、アーティストとして活動をする“アーティスト×◯◯”という新しいアーティスト・イン・レジデンスができました。日高村で本気のお仕事をともにし、村の人との関係を深め、文化や伝統に触れる、そして自然と向き合う生活をしたいアーティストを募集します。
・アーティスト・イン・レジデンスの募集
・活動期間は2週間
・日高村で働きながら、アーティストとして活動をする
・成果物の作成は任意
-
“アーティスト×◯◯”という新しい形のアーティスト・イン・レジデンスをつくったきっかけはなんですか?
戦国時代の「一領具足(いちりょうぐそく)」を現代版に
土佐国(高知)の歴史を参考にしました。高知県って戦国時代から、今で言う副業を取り入れていたんです(笑)
戦国時代、まだ兵農分離によって武士は武士、農民は農民と区別されていない時代、土佐国は兵力がとても弱かったので、当時土佐国を治めていた長曾我部氏は、「じゃあ、農民も連れてくぞ!」って、数で勝負したんです。
普段は農民として働き、城から動員の合図(実際は貝の音かと)がなったら、畑にさしてある甲冑を着て、刀を持ち、戦に参加するという一領具足(注)の制度を取り入れた結果、長宗我部氏が四国の大半を治めました。
この土佐の歴史を現代版にしたのが、アーティストとして活動しながら日高村で働く。
つまり“アーティスト×◯◯”という新しいアーティスト・イン・レジデンスです。
あと、これまで高知県で様々なレジデンス事業を企画する際に若手のアーティストの方から、「都市圏に住んでいると家賃などの固定費がかかるので、地域に滞在するのは金銭的にしんどい。地域に行きたいけど、そこがネックでアーティスト・イン・レジデンスに応募ができない」という声を聞いたんです。
そんな時にたまたま「2週間、生姜の収穫のお手伝い」というハローワークの求人を見つけて。
収入を得ながら地域に滞在したい若手のアーティストと、繁忙期に人手が欲しい農家さん。もしかしたら、ここってものすごく上手くマッチングするんじゃないかなと思ったんです。
(注)一領具足(いちりょうぐそく)
戦国時代の土佐国の大名長宗我部氏が兵農分離前の武装農民や地侍を対象に編成・運用した半農半兵の兵士および組織の呼称。
例えば、どのような「◯◯」がありますか?
日高村の特産品を作っているシュガートマト農家やショウガ農家
令和3年度に10月末から滞在した久保田舞さんはショウガ農家、12月初旬から滞在した葉栗翠さんはトマト農家として受け入れていただきました。
久保田さんは収穫された大きいショウガのサイズを切り揃え、芽をとるお手伝い。
葉栗さんはトマトの収穫や葉の剪定のお手伝いをされていました。
働きながら滞在することの良さはなんですか?
地域のことをより深く知れる。
働くことで、アーティストは地域のことをより深く知れると思うんです。また、アーティストも受け入れる農家さんもお互いにより多くの刺激を受けることができるのではないかなと思っています。
一般的なアーティスト・イン・レジデンスでは、ホテルに滞在することが多くて、普通の地域の人と関わる機会って少ない。せっかく地域に来ても、ただ観光して地域と深く関われず、帰っちゃうなんてもったいないです。
お仕事をともにすることで地域の人と関係を深めながら、地域のことを知ることができる。これは大変意義があることだと思います。
さらに、芸術(アート)の語源を紐解くと自然と対峙するための術という意味もあるんです。
地域にきて、農業をして、自然と対峙するというのはアーティストにとって、根源的な活動になるのではないかと思います。
アーティスト・イン・レジデンスでは成果物の作成が必須なことが多いですが、日高村は任意という点が大きな特徴ですが、それはなぜですか?
2週間で作品を作成して完結するのではなく、発展的に何かが変わるきっかけに。
このアーティスト・イン・レジデンスの目的は“何か”を作ってもらうことではないんです。
普段関わりがないアーティストと、日高村の長く続く関係の最初の接点を作ること。それによってお互いに気づきやひらめきがあったらいいなと思っています。
アーティストは新しい土地で、新しい人に出会い、新しいことをすることで刺激を受け、日高村はアーティストの方の面白い視点や独特な感性に触れることができる。
一時的に日高村の人手が増えたらいいってものでも、2週間で作品を作成して完結するようなものでもなくて、発展的にアーティストまたは日高村の何かが変わるきっかけにしたいんです。
アーティストとしても、2週間の滞在で作れるものはどうしても限られてしまう。
だから無理に成果物を作らなくてもいい、もちろん作りたければ作ってもいい、そういう意味で任意ということにしているんです。
2週間の活動期間でアーティストに求めていることはなんですか?
あなたの視点で思ったことを伝えて欲しい。
地域に住んでいる農家さんにすれば、アーティストと出会うって宇宙人に出会うくらいの感覚だと思うんです。だから、アーティストの方が当たり前だと思っている、あなたの視点で思ったことを伝えるだけでも、農家さんにとっては発展に繋がる可能性があると思います。
例えば、「この作業の効率ってもっとこうしたら上がるんじゃないですか?」とか、「この商品のパッケージってもっとこうしたら見え方変わるんじゃないですか?」とか、何でもいいんです。
あとはあなたの視点で、日高村に来て、日々やっていること、見たこと、感じたこと、思ったことをなんらかの形で発信をしていただけたら、それだけでも嬉しいです。
長く続く関係の最初の接点を作ることが目的とのことですが、アーティストの方には継続的にどのように日高村と関わってもらいたいですか?
滞在後も日高村のことを考えてくれるとか、そういうことを積み重ねていきたい。
日高村のアーティスト・イン・レジデンスに参加してくれた歴代のアーティストが、何年後かに集まってワークショップをするとか、日高村の体験を元に制作した作品を発表してくれるとか、若手の頃に日高村でアーティスト・イン・レジデンスに参加した方がすごい賞を受賞するとか、目に見えて結果が出るのも嬉しいですが、滞在後も日高村のことを考えてくれる、そういうことを積み重ねていきたいと思っています。
もしも「トマト農家さんが忙しい時期は日高村に行こうかな」なんて言ってくれるアーティストが出てきてくれたら最高ですけどね(笑)。
どんな人に合いそうですか?または、どんな人に来て欲しいですか?
日常の暮らしや日高村でコツコツと働くことを楽しみたい、村の人との交流を深めたい、村の暮らしを垣間見たい人
もちろんお仕事に対しては責任を持って取り組んでいただける人。その上で日常の暮らしや日高村でコツコツと働くことを楽しみたい、村の人との交流を深めたい、村の暮らしを垣間見たい。そんな人にぜひ来ていただきたいです!
あと、化学反応を起こしそうな「わけわからん!」みたいな人も呼んでみたいですね。
20年以上様々なアーティストと関わる仕事をしていて思うのは、アーティストの視点って独特で、何が出てくるかわからんからこそ、おもしろいって思うんです。
だから、履歴書だけ見てこの人って大体こういう人だなってわかっちゃうような方だけじゃなくて、どんな人なのか未知で不思議な方にも来ていただけたら、と思います。
-
- 募集対象
-
国内(日高村を除く)在住の文化・芸術分野(文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊、メディア芸術、伝統芸能、芸能、生活文化など)
*1でプロもしくはプロに準じる活動*2をしている個人またはグループ
*1 文化芸術基本法第8条から第12条に定める文化芸術分野とします。
参考:文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊、映画、漫画、アニメーション、メディア芸術、雅楽、能楽、文楽、歌舞伎、組踊、その他の我が国古来の伝統的な芸能、講談、落語、漫談、漫才、歌唱、その他芸能、茶道、華道、書道、食文化、その他生活に係る文化)
*2 明確な規定は設けず、応募書類に記載された実績をもとに判断します。
-
- 募集人数
-
5名
応募があった全ての方について審査を行い、参加者を決定します。
-
- 募集期間
-
令和6年5月20日〜6月30日
応募方法は募集時期に合わせてHPで公開します
https://hidakair.jp/
-
- 事業実施期間
-
令和4年8月~12月
この期間内において、連続する14日間程度日高村に滞在
-
- かかる費用・報酬
-
滞在支援金として1人あたり一律5万円(税込)を、滞在後にお支払いします。
滞在中に従事した労働に対する対価は、受け入れ事業者により直接お支払いいたします。
参加に当たって必要となる費用(食費、交通費等)は参加者本人の負担となります。
-
- 問い合わせ先
-
本件に関するご質問等は、下記の宛先へお願いいたします。
日高村「アーティストインレジデンス事業」事務局
特定非営利活動法人 地域文化計画
info@hidakair.jp