【地域おこし協力隊卒業記】未経験から農家へ。日高村で見つけた「稼ぐ」ためではない自分流の農業の続け方
2026.01.14
千葉県出身、2022年2月にオーガニック野菜を育てる農家を目指し、高知県日高村の地域おこし協力隊に着任した吉岡遥菜さん。卒業後はpacha de haru(パチャ・デ・ハル)として、自ら栽培したハーブや野菜の販売を開始します。
3年間の協力隊としての活動を終え、何を学びどういう生活をしてきたのか活動を振り返りながら、今後の展望も伺いました。
Q:地域おこし協力隊として実施に3年間、活動をしてみていかがでしたか?
日高村に移住してきた時は、農業は全く未経験だったので失敗ばかりでした。
農業は過去に上手く栽培できて収量が良かったとしても、毎年気温も天候も違います。
育てる場所によっても、日当たりや水捌けが異なるので同じように栽培したからと言って上手くいくとは限りません。本には載ってないことが多く、実際にやってみないとわからないことばかりで難しいですね。
2025年は猛暑や育てる場所が変わったこともあり、作物によっては去年より収量が悪かったです……。

この3年間で協力隊でなければ、この瞬間食べていけるかわからない時期もありました。上手くいかないこともいっぱいでしたが、協力隊という制度は失敗が許される3年間。そのおかげで焦らずに土台を作ることができたと思います。とてもありがたい制度です。
Q:3年間で学びになったことはありますか?
農業の実践的な学びがすごく多かったです。村民の方や研修でゼロからトラクターの乗り方とかお米の作り方、苗の作り方とかも教えていただきました。
私は起業定住を目指すフリーミッション型の協力隊として活動をしていたのですが、途中から隣町の佐川町で有機農業をしている「SOEL」という団体で学んでいました。隣町に研修に行くのは協力隊としてはイレギュラーだと思いますが、日高村役場の担当の方が臨機応変に対応してくださいました。私がやってみたいと思った方法に挑戦ができる環境で、農業を学ぶことができとても感謝しています。

Q:日高村に移住をして良かったことはありますか?
一番良かったのは、困った時に手を差し伸べてくれる人々に出会えたことです。
正直、移住者をあまり良く思っていない地域の方もゼロではない。しかも移住して未経験から農業に挑戦したので、困難にぶち当たる事も多かったです。そんな時に悩んだことがあれば相談に乗ってくれるご近所の方、新しいやり方を面白がってくれる「SOEL」の代表者の方、畑を紹介してくれたり、親戚の餅つきの手伝いなどに呼んでくれたりと家族のように受け入れてくれた村の農家さん。
本当に良い人に出会えて支えてもらったたことで、今の自分があると思います。
Q:活動して大変だったことは何ですか?
大変だったというか、卒業後どう生活を成り立たせていくかということをずっと考えていました。
実際に高知の農業研修に参加して思ったのは、実家が農家で農業の経験がある人、農業は未経験だとしても継ぐ土地や機械を持っている人が多いこと。
未経験で土地もトラクターもハウスも持っていない、私みたいな人は少数派でした。農業だけで生活するには大規模で行う必要があるけど、それには相当大きな額の投資が必要になります。
投資をして農業だけを生業にしていくのは「私がやりたい生活とかけ離れる」との思いに至り、途中で路線変更しました。

Q:吉岡さんの理想の生活とはどんな生活ですか?
私は「農業で稼ぎたい」というわけではない。自分が食べるだけのハーブや野菜、お米を育てて、余ったものを販売したり、家族やご近所さんにお裾分けをしたりする。そんな生活が理想です。
私がそもそも日高村に移住した理由は「体に良いものは食べて生活していきたいけれど、コロナ渦や国際情勢を踏まえると今後、物価は上がり、オーガニック野菜などは自分が手に入れることができない価格になるのではないか。自分の食べるものは自分で作れるようになりたい」という思いからだったのです。
その移住前の思いに立ち返ることで段々、方向性が段々みえてきました。
Q:「農業で稼ぎたい」というわけではないと方向性が見えてからは、どのように活動をされましたか?
どうしても私がやりたい形だと農業一本で食べていくのは難しい。それなら「理想の農業を続けるために農業以外の柱も作ろう」と活動をしていました。
協力隊の活動の後半の約1年半は「手伝って欲しい」と声をかけてもらえば、農業以外のことでも様々なお手伝いに行きました。毎週土曜日に開催されている「池公園の土曜市〜高知オーガニックマーケット」の事務局として運営に携わったり、文旦農家さんの営業のお手伝いをしたり。その中で自分には何が向いているか、どんな人と働いていきたいかが段々わかってきました。

Q:卒業後は どんなことをしていく予定ですか?
農業も続けながら、3つほど食に関する別の仕事を柱にしてやっていく予定です。
農業ではpacha de haru(パチャ・デ・ハル)という屋号で、たくさん作れた野菜やお米を道の駅やオンラインで販売していこうと思っています。

農業以外のお仕事では先ほど話をしていたオーガニックマーケットの事務局や、文旦農家さんの営業、他にも海藻の養殖をしている会社のバックオフィスなどを行っていきます。
意識的に選んでいたわけではないのですが、いずれも持続可能な食の在り方を模索していくような高知の会社や団体に関わらせていただくことになりました。
Q:これからの目標は何ですか?
今の暮らしを続けて、朗らかに生きていくこと。そして、仕事とのバランスを大事にしながら、もっと上手に野菜を育てられるようになりたいです。
協力隊の時は農業だけに注力できたけれど、卒業したらそれは難しい。
しかも1人でやっているので農業では効率を上げて省略できるところを模索しつつ、もし農業で失敗しても焦らないような基盤づくりをし、農業と他の仕事のバランスを大事にしながら暮らしていきたいです。
