「人口より多いキジ」を育てる建設業の跡取り息子。一度離れたからこそ分かった、梼原町で生きる誇りと幸せ
2025.12.11
高知県梼原町出身。大学進学を機に山梨へ渡り、都会での生活を経て2022年にUターン。
現在は、実家の建設業に従事しながら、梼原町の特産品である「キジ」の生産事業へ携わる。
二足のわらじで地域の伝統と未来を支えている。
Q:一度は離れた地元。Uターンを決めた「本当の理由」とは?
A:都会で働いて気づいた、梼原町の「人の温かさ」と「空気感」が恋しくなって。
大学進学時に父から「家業を継いでほしい」と言われたときは、正直なところ戻る気にはなれませんでした。「都会に出て華やかな仕事がしたい」という憧れが強かったんです。
卒業後は大阪で建設業に従事していましたが、転機が訪れたのは30歳を目前にした頃です。ふと、梼原町のあたたかい人の繋がりや、肌に馴染む空気感が恋しくなりました。「やっぱり梼原っていいな」と気づき、今度は自分が恩返しをする番だと考え、2022年にUターンを決意しました。
現在は建設業に従事しながら、複業として町の特産品であるキジの生産を行う株式会社四万川の業務にも携わっています。
▶株式会社四万川(雉生産部)
Q:特産品「キジ」の生産。具体的にどのような活動をしていますか?
A:町の人口よりも多いキジたちと向き合う日々。孵化から成鳥まで、命を育む責任と誇りがあります。
私たちの仕事は、梼原町の人口よりも多い数のキジを、タマゴから成鳥になるまで育て上げることです。
まずは産まれたタマゴを孵化器に移すところから始まります。キジの孵化率は約50%と低く、ヒナが無事育つまでは非常に神経を使います。四国カルストの麓から湧き出る清らかな水とこだわりの餌を与え、毎日朝夕の3回は見回りを行い、約1年かけて大切に育てます。
冬、脂が一番のった時期に出荷を迎えます。地元の職人さんが手作業で丁寧に捌くのですが、1日100羽進めてもシーズンを通して40~50日はかかる大仕事です。次の命を繋ぐために300羽を残し、また新しい季節を待ちます。このサイクルこそが、梼原の食文化を支えているという実感に繋がります。
Q:キジ生産を通して感じる「やりがい」やおもしろさは?
A:予想外の行動に笑わされる日常と、全国の方に「梼原の味」が届く瞬間です。
3年前に新設した鶏舎は広々としていて、キジたちはストレスフリーな環境で放し飼いされています。孵化したばかりのヒナはかわいいですよ。
鳥には「刷り込み」という習性があるので、「親だと思って後ろをついてきてくれるかな?」と期待していたのですが...キジにはその習性がないみたいで、むしろ鶏舎に入ると背後から飛びかかってきたりします(笑)
1年かけて育てたキジが、ふるさと納税やオンライン通販を通じて全国の方々の食卓に届く。これが何よりのやりがいです。「美味しかった」という声を聞くと、苦労も吹き飛びますね。
Q:Uターンして良かったこと、そしてこれからの目標は?
A:ストレスフリーな生活の中で、仲間と共に「梼原の未来」を作っていきたい。
Uターンして一番良かったのは、田舎特有の穏やかな時間を味わえることです。都会の喧騒から離れ、家族や友人、地域の方々と交流することで、精神的にとても満たされた日々を送っています。
仕事面では、本業の建設業に加え、キジ生産を通じて「特産品を守る」という地域貢献ができていることに、自分の存在意義を感じています。
ただ、町全体の人口減少はやはり気がかりです。だからこそ、今後はキジの生産で一緒に汗を流してくれる若い仲間を増やしていきたいと考えています。
人が来て、そして定着してくれるような魅力的な活動を続け、生まれ育った梼原町がこれからも元気であり続けるよう貢献していきたいと思っています。
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